<キューバの不思議1 車事情>
57年製シボレーベルエア、59年製キャデラック・エルドラド 51年型マーキュリー、58年型ダッチ。
誇らしげなテールフィンを輝かせながら、半世紀前のクラシックカーが街を走り抜ける。
キューバの観光資源であるアメリカのクラシックカーは、国交断絶をした時にアメリカ人が置いていったものである。
ほとんどがタクシーとして使用され、ボロボロのものから磨き上げたものまである。
よく観察すると、台数的には、モスコビッチ、ラダといいた旧ソ連製の車の方が多いように思うが、圧倒的にアメ車が目立つ。
中には写真にあるように、50年代のベンツ(190bポントンか)や、ジャガーマーク2(左ハンドルだからこれもアメリカ人のものだったのだろう。ホイールファンキー!)、撮れなかったがMG-Aも、稀に走っていた。
聞けば、当然オリジナルエンジンは少なく、多かはヒュンダイ、次にベンツやキアのエンジンを積んでいるのだという。
キューバでは一時、知識階級や有名文化スポーツ人しか車所有が認められないという時代があったが、反対によって一般人にも認められた。
だがここからがキューバ政府である。
新車に買い取り価格の800倍、中古車に1500倍の税をかけたのである。
しかもディーラーは国だから誤魔化せない。
ちなみに、キューバでカローラの新車を買おうと思ったら、2千万円以上かかる。(日本の商社所有の車が壊れたが、新車を買えないのでレンタカーを借りているという)
なにしろ、一般キューバ人の月収は、2千円程度であるから、実質買えないじゃないかと思うが、ここはまたキューバ人の強かなところである。
個人売買で、極端に安く買ったことにするのである。
中古車で10円なら、15000円だもんね。きっとそうした契約をしておいて、タクシーで稼ぎ、実際の額を元の持ち主に返金するのだろう。
何しろタクシーの運ちゃんは稼ぎがいい。
ピカピカのクラシックカーに一時間乗ると3千円だから、どんなに安く見積もっても一ヶ月10万円以上は稼ぐ計算になる。
方や医者や弁護士、大学教授の給料が一ヶ月4〜5千円である。
最近では、医者をやめてタクシー運転手に鞍替えする人も多いという。
医学界でも最先端にいるという、キューバの医者が、生活のために運転手となるのである。
さらに不思議もある。
キューバの車ナンバーの頭にあるアルファベットは、所有の種別を表し、Pはプライベートで個人所有、Bは国有、Tはツーリスト、Kは外国の会社、Eが大使館である。
ところが街中では、Pナンバーのベンツやアウディ、プジョー(何故か多い)の新車が颯爽と走っているのである(三枚目の写真後方も見ると、アウディ)。
つまり6〜8千万円の車が、平然と走っている。
そんなの買うのは誰か? ちゃんと税を払っているのだろうか?
ここがつまるところ、社会主義なのである。
<キューバの不思議1 車事情>
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